2014年2月24日月曜日

連夜の更新 / 27年目の真実。答えはひとつではなかった!

ポコ太です。
以前『予告編』を載せた「『Kiss You』の弾き語り」完成しました。
よかったら見てくださいね!









… と、
本来ならこれは単なるお遊び動画なので、これだけで終了のはずだった…。


しかしこの動画制作時、まさかのネタに気づいた為、
ここに独立した枠としてエントリーすることにした。





本題に入る前におことわりしておくが、この動画のポコ太
『首を痛めた人』では無いので御気遣いなく。
というか、ネックウォーマーまじオススメっす!





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当Blogで以前、こんなクイズを出したことを覚えているだろうか。


  TM NETWORKの楽曲の中でライナーノーツに記された歌詞と
  実際に歌われている歌詞が一部違う曲があります。
  どの曲でしょう?

  ライブバージョンではありません。
  もちろん未発表曲でもありません。
  通常のアルバムに収録されていて、
  そのアルバム付属の歌詞カードと実際の歌が違うものです。

  ヒント・ TMN以前、"旧" TM NETWORK 時代の曲です。




このときは「Here, There & Everywhere」と言うのが、
当・重箱Blogでの答えであった。

しかし、新たにもう1曲付け加えなくてはならない。
「Kiss You(シングルバージョン)」である。





今回の弾き語りでは More Rock ver. を念頭に弾いている。
動画を見ていただけば分かるように、
ピアノに貼ったカンペをガン見して歌ったため、歌詞間違いは無かった。

しかし唯一、間奏における『♪ I kiss you for Happy Christmas ~ 』という “語り部分”。
用意したカンペは More Rock ver. の為、該当部分は存在せず
この部分だけは記憶で歌っている。


というのもこの部分、予定では言うつもりはなかったのだが、
本番中に、つい言い始めてしまったのだ。
さすがに途中でやめるわけにもいかないので
(ドキドキハラハラしながら)最後まで通すことに…。

とりあえずは無事にこの部分を切り抜け、ホッとしたのだが
その後、動画に歌詞を付けている段階で妙なことに気づいた。






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語り部分の最後。
シングルバージョンの歌詞カードでは『I kiss you for all the time』とあるが、
動画内の自分は『I kiss you all the time』と言っている。
一瞬「あ、やべっ。オレ間違えてる(汗)」
と思ったのだが、やはり自分の記憶では『I kiss you all the time』の方がなじみがある。


  画像は左がCDシングル、右が同じくシングルバージョンが収録された
  「TMN BLACK」をスキャンしたもの。どちらも「for」が入ってる。













慌ててシングルバージョンの該当部分を聴いたのだが、宇都宮隆本人も
やはりどう聞いても
『I kiss you all the time』としか言っていない。



「Kiss you」のこととなると、心穏やかではいられなくなるポコ太。
さらに手元の、ライヴバージョン含むありとあらゆる「Kiss you」を聴いたが、
やはり『for』は入っていない。

TMのライブで初めてボーカル用に歌詞表示(つまりカンペ)されるようになった
「4001 DAYS GROOVE」でも入っていない。
(もっともDVDを見ると、この瞬間はカンペを見ていないのだが)

皆さんもCDなりDVDなりで確認してほしい。




これは「Here, There & Everywhere」の時と違い、
初出のシングルバージョンの時点で既に『for』は入っていないので、
ライブで何度も演奏するうちに途中で変わった、ということでもないようだ。

つまり最初のレコーディングの時点で修正が入ったということだろう。
なお今回の動画ではオリジナルの歌詞を尊重して、
あえて『I kiss you for all the time』と表示した。




コメント欄からFANKSワタルさんより情報をいただきました。
なんとシングルレコードの歌詞カードには
「I kiss you all the time」と、表記されているそうです。
と言う事はCDシングルになったときに「for」が紛れ込んだと言うことに…。
「TMN BLACK」はそれを引き継いでしまったんですね。
しかし、こんなことってあるんだ…(呆然)

FANKSワタルさん、ありがとうございました。
(2014.3.3 追記)





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もうひとつ。



ライヴ初演となる「Kiss Japan tour」の時点で、
すでに More Rock ver. で演奏されている為、この語りの部分は無い(※)
その後も「Kiss Japan Dancing Dyna-Mix」「STARCAMP TOKYO」と同じ状態が続き、
もはや歴史の闇に埋もれてしまったようになっていたが、
何故か「Carol Tour」で突然復活する。



今までこの語りの部分は「Be together」イントロ部の語りのように、
アルバム「DRESS」に収録されたバージョン
「KISS YOU (KISS JAPAN)」に語り部分が採用されたことにより、
ライブでも復活したのだと思っていたのだが、
前回「Nervous」の項でも触れた、
89年1月放送 NHK『Just Pop Up』出演時にすでに復活している。
どうやらアルバム「DRESS」とは関係なく「Carol Tour」の最初から復活していたようだ。

 NHK『Just Pop Up』





























その後もこの語り部分は有ったり無かったり。
とりあえず「Kiss you」を演奏したライブと、語り部分の有る・無しを簡単にまとめてみた。
○=語り有り × =語り無し

×「Kiss Japan tour」
×「Kiss Japan Dancing Dyna-Mix」
×「STARCAMP TOKYO」
○「Carol Tour」
○「CAMP FANKS!! '89」
×「RHYTHM RED Tour」
○「4001 DAYS GROOVE」

○「Log-on to 21st Century」
×「DOUBLE-DECADE “NETWORK”」
×「SPEEDWAY Tour」
×「ALL THAT LOVE -give&give-」
×「-Incubation Period-」

今のところ4勝8敗というところだ。いや、そういう問題じゃないか…。

もっとも○が付いていてもツアーの場合、全会場でやっていたかは不明である。
というのも以前指摘したように、本来歌われていた「CAMP FANKS!! ’89」の内、
8月29日分が収録された CD「TMN GROOVE GEAR 2」では何故かこの部分が無い
歌わなかっただけなのか、編集時にオフにされたのか謎ではあるが…。





(※)シングル「Kiss you」発売時のTVプロモーション時、
   『夜のヒットスタジオDX』のみ、More Rock ver. のオケが使われている。
   これは他の番組と違い
   シングル発売前の放送(9月23日)だったから出来た事だと思われる。
   これは More Rock ver. のオケの上で ”語り” が入る、おそらく唯一のケースだろう。






















  『夜のヒットスタジオDX』にて、何故か木根尚登をガン見して歌う宇都宮隆。
   この後「♪ “駆けて行く” 君を、解き放つ力」…と、得意の創作詞を披露した。





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同じ部分について、ついでなので完全に話がずれるが、もうひとつ。
ここで書かないと、もう書く機会がないと思うので…。



DVD「FANKS the LIVE 3」の該当部分(語りの部分ね)は、
昨年よりしつこく、しつこく、やっているように、
映像はNKホール(おそらく8月26日分)だが、
バック演奏は、横浜アリーナ 8月29日分。
さらにその上にのるボーカルは映像と同じNKホールのもの
という重層的な編集がなされている。

松本孝弘のギターソロに注目すれば分かるが、映像と音が全く合っていない
音に関しては先に挙げたCD「TMN GROOVE GEAR 2」収録
(つまり8月29日分)のギターソロとまったく同一である。

彼の手の動きに注目




























ここで注目してほしいことがある。
このDVDではギターソロは右から聞こえるように編集されているが
真ん中、つまりボーカルマイクにかぶってしまった形で
本来(NKホール26日分)のギターソロが、所々(特に「〜 Happy new year」の後)
うっすらと聞こえるような気がする。

これに関しては、かなり小さい音なので
自信を持って言うことは出来ない。
皆さんの意見も聞いてみたい。






        ・・・・・・



       って結局、最後は
   また「CAMP FANKS!! 」ネタかよ!

          と、セルフツッコミを入れたところで
               この項、以上。





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うーむ。
元はと言えば、自分が予定に無いことをしただけの事だったのに、
ここまで話が広がるとは思ってもいなかった…。


しかし、この『for』の件、皆さんお気づきでしたでしょうか?
ポコ太は、自分の事を "KISS YOU 大好きっ子" などと書きつつ、
27年間全く気づかず、とても恥ずかしいです。


この調子だと、まだまだたくさん
気付いていないネタが転がっているのかもしれませんね。




というわけで、二夜連続の更新はこれでおしまい。
まだの方は、昨夜のエントリー
[連夜の更新 / 「Nervous」に見る「Carol tour」の魅力と "Mad小室"]
も、どうぞ。




んじゃ、また。







2014年2月23日日曜日

連夜の更新 / 「Nervous」に見る「Carol tour」の魅力と "Mad小室"

皆さん、お久しぶりです。

実は前回お約束した「Nervous」に関する記事を書いているうちに、
まったく別の件で気付いたことがあり、
2つのエントリーを同時に書いている状態になってしまいました。

普通に考えれば、1つずつ時期をズラしてアップすればいいのですが
ポコ太の辞書に『ペース配分』という言葉はありません。(断言)

よって今回は、2つのエントリを続けざまににupします!
どちらもA面!世界初の両A面エントリーです!!(意味は不明)







今夜はこれだ!
[「Nervous」に見る
 「Carol tour」の魅力と "Mad小室" ]






『言い訳』



えっ、なになに?

「おいおい、今までお前は「Carol Tour」は苦手と言ってきただろう。
 それがここに来て「Carol Tourの魅力」ってどういうことだよ!?」


ウム。

確かにポコ太は「Carol Tour」が苦手です。
しかし「苦手」とは言ったが
  「嫌い」とは言っていない!(キメッ)





         シ~ン



       あ、あ、あ~ 待って、待って〜 みんな~ みんな~ みんな~







まぁ正直、今だに苦手なのは事実。
理由としては『3部形式という特殊な構成』につきる。

これは当時「Carol Tour」に足を運ばれた方なら、
その賛否はともかく理解はしていただけるだろう。

通常のコンサート形式でスタートし、盛り上がった第1部のテンションが、
どうしてもミュージカル形式の第2部で一度、切れてしまうのだ。
(この時、会場のあちこちで「なにこれ?このまま立ってていいの?
 それとも一旦座った方がいいの?」という戸惑いが広がった)
そして、ようやくそのミュージカルの流れに慣れた頃には、
怒涛のDANCE MEGA-MIX連発の第3部に移るといった具合。
よく言えばバラエティに富んでいるが、どれも食い足りないとも言える。

今現在も、ポコ太が抱えている苦手意識はこちらの方だ。





しかし実際に「Carol Tour」を観る前に感じていた苦手意識というか不安感がもう一つある。
それは『Bass が打ち込みになったことによるバンド形態の崩壊』だ。

(ちなみにポコ太が最初に観た「Carol Tour」は、
 本来であればツアー最終日となるはずだった、89年4月の武道館公演最終日だった為、
 ツアーが始まってから実際に体験するまでにかなり間があった。
 その為、先に雑誌等での情報ばかりが押し寄せてきて、
 不安がどんどんふくらんでいったのだ)




この『バンド形態の崩壊』
それはバンド形態の完成形であった、1988年春「Kiss Japan Dancing Dyna-Mix」の後、
同年8月の東京ドーム公演「STARCAMP TOKYO」で起こった。

「STARCAMP TOKYO」




























このときは「サポートメンバーが誰か?」というのもギリギリまで伏せられていた。
そして、ふたを開けると
・Drum → 外国人 ・Bass → 打ち込み という、サプライズな仕掛けだったわけだ。




ただ、Drumはともかく、Bassが打ち込みということに関しては
一部にその是非を問う声があったのも事実だ。



「CAROL」の時期にファン層が
ごっそり入れ替わったという話を聞くことがあるが
これは「CAROL」の少女趣味的なストーリー性や、ビジュアルによるものだけではなく、
この『バンド形態の崩壊』により
「Self Control」「humansystem」で興味を持ったバンド少年達や、
TM NETWORK を BOØWY などと同枠に見ていたリスナー層(主に男性)
が離れてしまったという面もあったのだ。


なんだか表層的な話に聞こえるかもしれないが、
思春期とはそういう表層的な事に重きを置く時期でもある。
他グループとの差別化を意識していた小室哲哉の狙いは、
良くも悪くも成功したといえるだろう。




さて、こちらの自己紹介でも触れているように、
ポコ太自身も "ライブバンドとしてのTM NETWORK" を追い求めていた一人であり
「STARCAMP TOKYO」を観た時点では、
その後の「Carol Tour」に不安しか感じられなかった。


確かに「STARCAMP TOKYO」は一部のアレンジや選曲では攻めていたものの
その上にのるミュージシャン達の演奏は、それまでの枠に収まるものであった。
「Passenger」でのオルガンプレイ等、一部にはキラリと光る部分はあったものの、
やはりTV出演等で見る
"カラオケバックに手弾きを重ねた
ものの豪華版に感じた。

またDrumのNick Franceは、
TMの音楽を自分なりに消化するまでには至っていないように聴こえた。


もっともこの悪印象は、本人たちが言う様に準備期間の不足
この年オープンしたばかりの東京ドームでコンサートをするノウハウの不足による、
音響の悪さ等も要因として重なっていたと思う。




そして「STARCAMP TOKYO」の行われた88年夏の時点で、
冬から始まるツアーも、同じ『サポート2人 + 打ち込みBass』の編成と発表された。
それが「Carol Tour」である。


つのる不安。ポコ太自身も試されていた…。



ところがだ。
「STARCAMP TOKYO」の印象 + ツアーの前評判 からMAXになっていたポコ太の不安は
いざ実際に観てみると、良い意味であっさりと裏切られた!



相変わらず長い前置きであるが、実はこの件が本項の主題でもあるのだ。
何がポコ太のハートをがっちり掴んだのか。
「STARCAMP TOKYO」との違いはなんだったのか。

以降は「Nervous」を例に取り説明しよう。






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さて「Nervous」である。



ポコ太にとって「Carol Tour」1番の収穫
コンサートのオープニングとして演奏されたこの「Nervous」であった。

「Carol Tour」の「Nervous」といえば、ツアーの前期と後期で
イントロのアレンジが異なることは有名だ。
ただ、ポコ太としては「Nervous」のイントロを変えたというより、
コンサート全体の出だしを変える、という意図だったのではと認識している。


幸いなことに、この両バージョンは記録として残っており、現在でも確認することができる。
前期バージョン → NHK『Just Pop Up』(89年1月放送)
後期バージョン → DVD『FANKS the LIVE 3』『CAROL the LIVE』





















NHK『Just Pop Up』での木根尚登。… こうでもしないと、今回出番が無いので…。








しかし、ここで取り上げるのはツアー前期バージョン・後期バージョンという話では無い。
今回注目するのは打ち込みではなく、それに合わせて演奏する人間様の方だ。
ここではサポートミュージシャン、松本孝弘のギタープレイを見てみよう。




前期バージョン・後期バージョンが主にイントロ部分の違いなのに対して
(実際には「Nervous」に限らず、長いツアーの中で
 音色の変更などマイナーチェンジが何度か行われている)
ここではAメロに注目してみよう。



長いツアーの中、このAメロにおける松本孝弘のプレイには少なくとも
3パターン有る。


1)ズンチャラ・ズンチャラと裏打ちでプレイ(NHK「Just Pop Up」で聴ける)
2)クリアトーンでチャカチャカとコードバッキング(DVD「FANKS the LIVE 3」で聴ける)
3)ミュートトーンによる単音プレイ(DVD「CAROL the LIVE」で聴ける)




1)は固定したパターンであり、いわゆる前期バージョンと呼ばれている時期は
これが主だったようだ。
この場合、ポコ太としてはイントロのアレンジはカッコイイものの、
いざ歌に入ると、やや単調な印象を持っていた。



コレにどの時期からか定かではないが 2)3)が加わる。



2)は3パターンの内、もっともノーマルなパターンといえる。
ギタリストを呼んできて「とりあえず、ちょっと弾いてみて」と言えば、
まずこういうプレイをするのではないだろうか。
ポコ太としては爽やかではつらつとした印象を受ける。なかなか好印象だ。



しかし、ポコ太にとって別格なのが 3)だ。
元々、古き良きピコピコ音とミュートギターは相性が良いと言われる。
DVD「CAROL the LIVE」で聴けるソレも、この単音ギターが
ピコピコと鳴っているSequenceと絶妙に絡み合い
心地よいスピード感を生み出している。

あまり語られないが、8月30日の公演は
レギュラーとしてのサポートミュージシャン松本孝弘、最後の演奏である。
ポコ太はこの日の「Nervous」を彼の置き土産として、今でも愛聴している。
(それだけに、このDVDの音質が悪いのが残念!)





さてポコ太の好みはともかく、
ここで重要なのは
『バックの打ち込みは皆、同じ』だということ。
なのに、その上にのるギター1本でここまで印象が変わるのだ。



また同じくAメロでは、Drumの阿部薫も2番の「♪~口笛忘れた Stray kids」の部分で、
ツアー初期にはなかったフレーズを仕掛けてきており
それに合わせ、ステップを踏む宇都宮隆の姿は皆さんにも印象的であろう。






























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「STARCAMP TOKYO」との違い
 〜「Carol Tour」の魅力とは 〜



まず「STARCAMP TOKYO」に比べ「Carol Tour」は手弾きの割合が増えている。
小室哲哉による、派手なシンセソロ・サンプルプレイ・ショルダーキーボードプレイ・
そして手弾きのシンセベース(!)などなど、てんこ盛りだ。
しかし、ここで訴えたいポイントはそこではない。


身も蓋もないことを言うと「STARCAMP TOKYO」と「Carol Tour」の違いとは
単独公演とツアーの違いである。
いや、怒らないでもう少し聞いてほしい。


もちろんツアー途中で、アレンジの変更や新曲の挿入など変更はあるものの、
それは毎日行われる事ではない。
基本的にバックで流れているのは、昨日も今日も同じデータだ。


以前のツアーに比べ、打ち込み比率が上がった「Carol Tour」であるが、
しかし先の「Nervous」で見たように、それだけ
ミュージシャン1人1人のプレイスタイルの変更やアドリブが
曲全体の印象に与える影響力は高まったとも言える。
つまり全体が常に揺れている状態(全部生演奏)よりも、
固定した背景(打ち込み)の前で動いている方が、その動きが際立つということだ。


そして「STARCAMP TOKYO」のような単独公演とは違い、長く続くツアーの中、
同じデータを流していても、その上に乗る演奏で日々形を変えていく。
これぞ正にライブの醍醐味であろう。




そう考えると、「Carol Tour」とは
『モダンタイムス』的、人間賛歌
であったとも言えるのではないだろうか。





"ちょっと、いいこと言った感” が消えないうちに、次の注目点に移ろう。





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『Mad小室』



さて、同じく「Nervous」である。

ここではBメロにおける『フッフー・フ~フ』という
2小節一単位の女声コーラス(譜面参照)に注目してみよう。












当時から気になって仕方がなかったのだが「Nervous (Carol tour ver.)」では
この女声コーラスの出入り(ではいり)するタイミングが、かなりテキトーである。



オリジナルであるCDバージョンでの位置は
2小節一単位として4回繰り返し=Bメロ8小節間にちょうど収まっている。
つまりBメロの始まり(例. ♪約束いつまでも待ってる ~)と同時に現れ
Bメロ終了(例. ♪夢なんかないさ)と同時に消える。

ごく自然、かつ常識的な編曲だ。
当然、他の時期のライブバージョンもこれに準じている。

1988年の「KISS JAPAN DANCING DYNA-MIX」でのみ、
・Aメロ→コーラス有り
・Bメロ→コーラス無し
と、適用位置が逆転するのだが、"8小節単位で出入りを繰り返す” 
という規則性は守られているため、聴いていて違和感は感じない。






ところが「Nervous (Carol tour ver.)」では下の譜面のようになっている。
(クリックすると拡大します) 

































青い矢印が女声コーラスの鳴っているところだ。
注目すべき箇所を赤丸で示した。
ぜひ、DVDなどで確認しながら御覧いただきたい。

上から順に、中途半端なところで消え(※1)また中途半端なところから入り(※2
最後はこのままサビまで行くかと思わせつつ、また中途半端なところで消える(※3

ちなみにBメロに関しては、1番と2番とでも違いがあり、
2番の該当箇所では緑の矢印で示した部分まで鳴っている。






えらくルーズなというかテキトーなというか…。






手弾きなら『間違えた』ですむが、このコーラスは打ち込みである。
しかもツアー初期 ~ 最後の「Camp Fanks!! '89」横浜公演に至るまで、
ツアー前期バージョン・後期バージョン など関係なく、
このコーラスのテキトーな位置は微動だにしない。
先に述べた様に、細かいアップデートは繰り返しているクセにだ。





つまり小室哲哉にとってはこれが正解であり、カッコいいと思っているのだ。
(宇都宮隆は歌っていて邪魔と思わなかったのか?)





同じような例としては、同ツアーの「kiss you」最初と最後のサビ直前のキメ
『♪ carry on your dream』直後に無理矢理挿入される、ピッチを上げ回転数の上がった 
『♪ carry on your』というサンプルフレーズにも言えるだろう。
(「Camp Fanks!! '89」では「DRESS」ヴァージョンへと
  アレンジが変わるが、この部分は同じ。
  CD「TMN GROOVE GEAR 2」収録の「KISS YOU [LIVE VERSION] 」では、
  1:30 と 5:52 で聞ける)


このサンプルフレーズは、どうやらツアー途中から加えられたよう
(少なくとも NHK『Just Pop Up』では鳴っていない)なのだが、
当時、会場で聴いた時はシークエンサーが暴走したのかとドキッとさせられた。




これも『カッコイイか?』と問われると、ポコ太としては答えに詰まる。




特にアルバム「GORILLA」以降の小室哲哉は、自分のセンスに対する
迷いや照れを一切感じさせない。
その姿勢は、実際は単なるミスであっても
「ひょっとして、わざとやっているのでは?」と思わせる、
妙な説得力を生み出している。




普通の感覚ならヘタに手を出すと火傷する様な事を、平然とやってのける。
これぞ『TMN』の"M"担当。
まさに『Mad小室』!!





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『告白』



今回は「STARCAMP TOKYO」についてグダグダ書いてしまったけど、
ホントはね、『バンド形態の崩壊』のなにがショックだったって
あのフォーメーションダンスが無くなることだったのよ。
一応、パメラと一緒にそれっぽいことはやってますけど、そこはやはりバンドで…。


「STARCAMP TOKYO」っていうタイトルは、TM史上一二を争う良いタイトルだと思うし、この時の「Passenger」も大好き!


んじゃ、また。




引き続き、明日のエントリー

をお楽しみに!