2015年11月14日土曜日

Let's ネガティブ☆ 〜後ろ向きで行こう〜 その3


熱く繰り広げてきた 秋のネガティヴ祭り もいよいよフィナーレ。

祭り開催中にもかかわらず、つい気を抜くと前向きになってしまう
迂闊なあなた には、こちらのエントリーもオススメしておく。



これを読んで(後ろ向きに)気合が入ったら、是非この先を読み進めてほしい。

最後を飾るのはこいつ!
DVD 「RHYTHM RED LIVE WORLD'S END II」だ!!
(以下「WORLD'S END II」)





ネガティブ☆その3
DVD 「RHYTHM RED LIVE WORLD'S END II」


最初に断っておくが、今回のネガティヴ☆ヒーローは
あくまで「WORLD'S END II」である。
「WORLD'S END I」の方は今でもミツカワのお気に入りであります。


いやいやいや、その2つになんの違いがあるんだよ!?


これが実はいろいろあるんですよ、奥さん…。
というわけで、まずは軽いジャブから。







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♫ 八千草薫よ永遠に…。


1990〜91年に行われた “TMN” としての初ツアー「RHYTHM RED TMN TOUR」を収録した
ビデオ「RHYTHM RED LIVE WORLD'S END」は1991年に発売された。
その後2005年、他の既発映像作品とともにDVD化。

元々は「I」「II」と、2つに別けて売られていた物を一つにパッケージするという、
その お得感 に惹かれ、自分は発売と同時にコレを購入した。
(これひとつ買えばVHS2本を処分出来る、というウサギ小屋的発想も当然あった)


帰宅するや否や、早速デッキにDVDを投込み鑑賞する。
「I」の方は問題ない。散々見慣れたVHSと同じだ。当たり前だ。
意味もなく曲頭に巻き戻してみたりして、DVD化の恩恵を堪能し悦にいる。



しかし「II」を見始めてしばらくすると、妙な感覚に囚われた。



俺、眼が疲れてるのか?
自慢じゃないがこのミツカワ、眼と歯以外はボロボロだ。(注)
  (注)本来なら『眼と歯だけは健康』と書くべきところであるが、
     ネガティブ祭りの趣旨に沿うように表現してみた。


しかし何度見てもおかしい。
特定のカメラアングルになると画像がボヤけるのだ。
"ボヤける" というより "ブレる" という感じか。
アナログ放送時代のTVでみられたゴースト現象のような感じ。




例えばこのカメラアングル。



同じ遠景でもこちらのカットではボケていない。





とはいえ、このサイズに縮小してしまうと違いが分かりづらいだろう。
比較用にこの2つの一部分を合わせたのが、こちら。


人物のボケ方も酷いが、ドラムセットのフレーム部分なども、
同一の映像商品とは思えない画像クオリティ である。



ちなみに良いカットは本当に素晴らしく良いので、その落差に困ってしまう。
この画像などは画面手前のパーカッションセットのフレームなど、とても綺麗に写っている。





その後も画面のピントが合ったり外れたりを不規則に繰り返しているようで、
集中して見れば見るほど 頭が痛くなってくる。

当時、まだDVDに不慣れだった自分は
『画質が(部分的ではあるが)悪いDVD』ということが飲み込めず、
これはひょっとして製造ミスかと、思わずソニーに直接問い合わせてしまった。





電話に出た、若いころの八千草薫似のお姉さん(もちろん声からの勝手な想像である)は、
担当部署に問い合わせた上で、丁寧にこう返答をくれた。






    『マスターテープの劣化だそうです』






その時、初めて「RHYTHM RED TMN TOUR」から
すでに15年の時が経っていることに気が付いたミツカワであった。



しかし、劣化なら特定のカメラアングルだけに発生するのも変ではあるが、
今更なにかを言う気にもなれず、
若いころの八千草薫似のお姉さんに簡単な礼だけをして、受話器を置いたのであった。

元々この作品(あくまで「II」の方ね)にあまり執着がないため、
深く追求をしなかったわけだが、その理由はこのあとを読んでもらうとして、
この DVD化時から気になり始めた新たな問題。
ソニーの説明通り、時の経過によるマスターテープの劣化なのか、
それともビデオ発売時から抱えていた問題だったのか…。




というのも同じDVD化によって新たに露呈した問題には先例があるからだ。
「FANKS the LIVE 2 KISS JAPAN DANCING DYNA-MIX」(2004年・DVD化)である。

「Resistance」のエンディング。
松本孝弘のギターソロのバックで
小室哲哉のバッキング音が音割れしている。

画ではこの辺。
ギターソロ13小節目で左側にノイズが入り20小節目の辺りで、もう一度小さいノイズが入る。



こちらはビデオを捨てる前に確認したが、
ビデオの時点で、すでに音割れしていた。
ただアナログテープ特有のヒスノイズやナマリ方のおかげで目立たなかっただけなのだ。
それがDVDとなったせいで目立つようになってしまったという顛末。




ひょっとしたら「RHYTHM RED LIVE WORLD'S END」も同じなのかもしれない。
ただ、DVD購入直前に
(まさかこんなことになるとは思わなかったので)
VHS版は処分してしまったために、比較することは出来なかった。



さて、これはあくまで余談である。
ここから先はビデオ発売時より元から抱えていた問題。







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♫ おしゃれ(イントロ)泥棒


「TIME TO COUNT DOWN」 のシンセによるイントロ部分が、
何故か CD音源に差し替えられている。



理由は不明だが、少し推測してみよう。

実はこの部分、ツアーでは年を越した1991年1月6日・鹿児島公演初日から、
それまでの半分の長さに短縮された。
見方によってはアルバムバージョンからシングルバージョンに変更になったともとれる。

これも理由は不明だが、おそらく曲順の変更に連動していると思われる。


ツアースタート時の「TIME TO COUNT DOWN」は
中盤の各メンバーのソロ演奏が終わったあと、後半スタートの位置で演奏されていた。
(そう考えると前回の「Tomorrow Made New」と同じ位置ですな)
この時点での本編エンディングは「Get Wild」(その後「All-Right All-Night」に)


しかし『TMNのツアーなのに
TM NETWORK の曲で締めるのはおかしい』という声が上がり、
年明けの公演から「TIME TO COUNT DOWN」がエンディングに座るようになった。

このため前曲「All-Right All-Night」のエンディングから一気にたたみかけようという意図で
該当部のサイズを縮めたのではないかと思われる。

だがビデオ化の際、宇都宮隆のイメージシーンを差し込むにあたって 尺が足らず、
しかたなく(1分近くある)CD音源から流用することになったのではないだろうか。


宇宙人の捕獲現場



本来のライブではこの部分、
「All-Right All-Night」のエンディングで
(とくにショルダーキーボード破壊がある日は)大いに盛り上げ
→ 一瞬の暗転
→ 暗闇の中からこのイントロが聴こえ
→ 小室哲哉1人にピンスポットが当たる、
という非常にテンションが高く、スリリングな流れで印象的だった。

それがこのような編集になってしまい、自分としては残念でならない。




…とはいえ、ここまではまぁ受け入れられる。
しかし、ここから先が問題 なのだ。
次は「I」「II」両方にまたがって発生している問題。








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♫ 君の声が聞こえ…ません!


ダンサー林選による女声コーラスが完全にカットされている。


彼女はダンサーとしてだけではなく、OPからの4曲にコーラスとして参加しているのだが、
このDVDにはその内3曲(「69/99」「Get Away」「Tomorrow Made New」)も
収録されているにもかかわらず、
どの曲からも女声コーラスは聴こえてこない。


映像だけを見た人は、
『この人、ただ口をパクパクさせるだけじゃないか』と思われるかもしれないが、
実際は TM NETWORK 時代ではありえなかった『生の女声コーラス』が大きい声で聴こえ、
とても華やかであった。

そのため自分には本来の音に比べ、ひどく単調(モノトーン)な演奏に聴こえるのだ。
(これがRHYTHM RED ver. の「Tomorrow Made New」を好かない理由のひとつでもある)





一応このDVDに残されている痕跡をたどると
「Tomorrow Made New」の最後で演奏がカットアウトになり、
アカペラ・コーラスだけが残るところ。
その終わりの方で、恐らく誰かのマイクに被った彼女の声が微かに聴こえてくる。



なお当時、TV『eZ』で放送されたこのビデオのアウトテイク(別会場)である
「69/99」では彼女の声が聴こえる。
(残念ながらこの時放送された他の曲には、元々コーラスとして参加していない)


どうしてこうなったのか謎であるが、
ひょっとして “ダンサー” としては商品化まで含めたライブサポート契約を結んだものの、
”コーラス” としての商品化契約まではしていなかったのだろうか?

あくまで推測であるが、
そうとしか考えられない消されっぷりである。

我々は真の「RHYTHM RED TMN TOUR」をいまだ聴けていないのだ。
(そういえば今年は「RHYTHM RED TMN TOUR」25周年ですね。ソニーさん…。
 もう今年終わっちゃいますけどね、ソニーさん…)





なお『声が聴こえない』という点では「Come On Everybody」のBメロも同じ。

実際のライブでは ♫〜 らーらーららーら という、木根・葛城による、
まるで昭和ムード歌謡のようなコーラス が付いていて、
かなり悪目立ちしていたのだが、これもバッサリ切られていて…

ま、これはいいや…(←勝手なやつ)





そして次こそ、ミツカワが初視聴時より耐え難きを耐えてきた
最大のネガティヴ☆ポイント!








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♫ おしゃれ(ベース)泥棒


このDVD、ベース音がペラペラ である。
もちろん部分部分ではあるのだが、ベースの存在感がかなり薄くなっている。

これこそミツカワがこのDVD「WORLD'S END II」を見ない最大の理由である。
これはVHS発売当初からの問題なのだが、
なぜこんなことになっているのか、ほんとに不思議だ。


「RHYTHM RED TMN TOUR」の中心コンセプトであったハードロックといえば、
ゴリゴリのベース音があってこそだ。

いかに Ritchie Blackmore が、Jon Lord が、スタープレイヤーであっても、
Roger Glover がやる気をなくした瞬間、
Deep Purple なんてペラペラの薄っぺらいへなちょこバンドになってしまうのだ。




この謎の深いところは
「WORLD'S END I」の方は特に問題ない こと。
ミツカワの好みとしてはもっとゴリゴリと主張した音にして欲しいが、
それを差し引いても、十分存在感のある音となっている。


それなのに「II」のベースはどうだ?!


薄い音にミックスされていて、場所によってはほとんど聴こえない。
そのせいでバスドラムのアタック音がペタペタと聴こえてきて
貧相にすら感じる 部分がある。




一番酷いのが「All-Right All-Night」のAメロ。
次が「Get Away」のAメロ。

どちらもフレーズが動く箇所では存在を確認できるのだが、
同一音を連打している所では、まるで気を消しているようである。

問題ない部分との落差を見ると、どうも音域のせいに思える。



断っておくが 実際のライブでは当然ゴリゴリに聴こえていた。




当初は収録内容が「I」の方はシンセベース系の音色(を使う曲)。
「II」の方が弦ベース系の音色にそれぞれ偏っているから、そう聴こえるのか?と思ったが、
さすがに
バスドラムのアタック音だけが聴こえてくるようなレベル では、
やはり単なる音色の違いとは思えず、これはミックス作業の違いが原因と考えるしかない。

自分は当初、
ベース・トラックがミュートされた状態で出荷されたのか
と思ったくらいだ。



なお、ここまではスピーカーから音を出した状態の話。

一応、ヘッドフォンなどで聴くと低域の圧は感じとれるので、
最低限の(本当に最低限の)役割は果たしているのだが、
ハードロックというジャンルを想い描いた時のベースとは存在感が違いすぎる。
これではまるで 塩対応ベース と呼びたくなる。





なんでこんなムラができたのか理解できないが、
ひとつ気になるのはこのDVD、ベース音がかなり加工されていること。

実際のライブでは、多くの曲でFM音源によるギゴガゴした
かなりキツ目のアタック音が付いていた。
ちょうどCD「RHYTHM RED」収録の「WORLD'S END」のベースと同じ系統だ。

しかしこのDVDではお聴きのようにこの アタック音が完全に消され、
かなり落ち着いた音色になっている。
この加工の工程に何か問題があったのかもしれない。



ライブ本来のベース音は
CD「TMN COLOSSEUMⅡ」収録の「The Point Of Lovers' Night」で聴くことができる。
こちらも加工はされているのだろうが、まだ本来の音に近い。
特に歌い出しの ♫〜 電話ボックスに〜 という部分を聴くと、
かなり強いアタック音が付いていることがわかるだろう。

しかし同テイクの素材を使用しているはずの、
このDVDにおける「The Point Of Lovers' Night」ではアタック音が消され、
かなり 丸っこい音に加工されている。



だがDVDも本来は派手な音だった事は、注意して聴くと
所々かすかにアタック成分(注)の痕跡が聴きとれることで分かる。
(注)洗剤の話ではない。




これが判りやすいのが「All-Right All-Night」
最後のサビが終わり、演奏を中断して宇都宮隆が観客にコーラスを要求するその直前。
ハイハットだけでリズムが刻まれる中、断片的にベースのフレーズが挿入される。

画としてはこの辺っす。ちなみに奥でスタッフが破壊用のKX5を用意してますな。



このときのベースには、かなりキツいアタック音が聴きとれるだろう。
「Get Away」も 「All-Right All-Night」も
本来は、全編この音色だったのだ。
DVD「WORLD'S END II」のベース音が、いかに加工されているか伝わっただろうか。



この件、なまじ問題のない「WORLD'S END I」が
比較対象として存在している ことで、
余計に気になってしまうのだ。



頭に書いたようにゴリゴリのベース音はハードロックの肝である。
それがこの状態ではとても気持ちよく聴くことができない。
演奏している画面(えづら)のテンションが高いだけに、
余計に 音との落差を感じてしまい、しらけてしまうのだ。

おかげで自分は今も「I」ばかり見て「II」は見ない状態が続いている。
つまり何が言いたいかというと…


                 ・
                 ・
                 ・
                 ・
                 ・


今年は「RHYTHM RED TMN TOUR」25周年 ですね。ソニーさん…。







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(追記 2018年8月3日)

2015年
30周年記念と銘打たれた映像作品
「TM NETWORK THE MOVIE 1984~」がリリースされた。
この中に「RHYTHM RED LIVE WORLD'S END II」に収録されていた映像の内、
次の3曲が流用されている。

「69/99」
「TIME TO COUNT DOWN」
「LOOKING AT YOU」

映像的には一部に被せてあったイメージ映像が外されているものの、
基本、既発のDVDと同じである。

しかし、驚くべきはその音声。
ここで散々愚痴ったスッカスカの低音が見事に改善されている!
というよりMIX全体が全然違う!!



「TIME TO COUNT DOWN」を例に挙げると、
判りやすいところではイントロでウツが「Time To Count Down」とコールした直後、
バンドインする瞬間にドゥウンと入ってくるベース音。
それ以降も一貫してゴリゴリとした低音が続き、心地よい。
パツンパツンいっていたスネアの音も、ナチュラルで深みのある音色になっている。
既発のビデオ(及びDVD)に比べて、こちらはかなりライブ会場で感じたバランスに近い。

「69/99」でも、タムの胴鳴りなどが聴こえるようになり、
全体的に重心が下がって安定感を感じる。
(「LOOKING AT YOU」はベース音がどうこういう曲でもないので省く)

「RHYTHM RED LIVE WORLD'S END II」以外の他の曲にも手は加えられているが、
これらは全体の統一感を出すための調整レベルであるのに対し、
この2曲はあからさまに別物へと変貌を遂げている。



これを "希望" と呼べるかと問われると微妙ではあるが、
少なくとも制作側が
・他の映像と並べた時、元の商品の音では相当手を加えないと繋がらない(問題有り)と判断した
・音声バランスは今からでも弄ることが出来る
ことは証明されたわけだ。

まあ証明されたからといっても、その先に繋がらなければ意味はないのだが、
とりあえずこの件でミツカワは2〜3年、夢を見ようと思います。
I Wanna See The Fantasy!





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さて、ミツカワの 全身全霊を傾けた秋のネガティヴ祭り。
いかがだったでしょうか?


ここで、ネガティヴ祭りの最後を飾るにふさわしい
ネガティヴなお知らせ。

例の「KISS JAPAN DANCING DYNA-MIX」企画、
前々回で『次回は11月下旬』とお知らせしましたが、
ドライブが… いや 諸事情により、12月にずれ込む見込みです。
まったく嫌な世の中ですね☆


んじゃ、また!!









2015年11月5日木曜日

Let's ネガティブ☆ 〜後ろ向きで行こう〜 その2

当blogでは現在 "秋のネガティブ祭" 開催中!
ネガティブ☆その1 はこちら





ネガティブ☆その2
「TOUR TMN EXPO」における『T・M・N』



♫ ビートルズに会えなかった


さてTMN、いや、TM NETWORKの代表曲といえば「Tomorrow Made New」
「Tomorrow Made New」といえばアルバム「EXPO」収録バージョン
という認識が国際的にも広まってきた昨今ではあるが、
ここで ミツカワ史上、最高レベルのトラウマ を披露する。

ミツカワがいかに「Tomorrow Made New(EXPOバージョン)」 を愛しているのかは、
こちらのエントリーを目の穴をかっぽじってよく読んでいただきたい。
読み終わったら次はこっちだ。

もういっそのこと朝晩声に出して読むか、
心が乱れた時、この文章を大学ノートにでも書き写してみてほしい。
(何か効果があるとは言っていません)


で、だ。


アルバムが出たら次はいよいよツアーである。
そう、1991年9月から始まった「TOUR TMN EXPO」だ。

ただ自分としては、
「Tomorrow Made New」はすでに前回のツアーで演奏されていたため、
ひょっとしたら今回はセットリストから漏れるのでは?という不安があった。
そんなとき目にした雑誌の『TOUR TMN EXPO ゲネプロ密着取材』
そこにはこう書かれていた。

--- 以下、原文のまま ---

そんなわけで、いちばん気になる楽曲たちについて。これは驚いたことに1曲もらさず「TMN EXPO」のナンバーが登場する!いくらアルバム中心のコンサートだといっても1〜2曲は何らかの理由(再現不可とか不適当だとか etc.)で入らないのが結構普通だったりするのだが、彼らはあえて丸ごとやってしまう。それだけ「TMN EXPO」は葉っぱまで使えてしまう大根のように(?)無駄がなかったってわけだ。

--- 引用ここまで ---



『丸ごと』!『大根のように』!!



この言葉に全てを託し、ミツカワは10月に行われる中野サンプラザ公演へ行くことを決めた。
中野サンプラザは2DAYSだったのだが、
特に深く考えず(曜日すら確認せず) 2日目に行くことにした。


あっという間に公演日当日。


いや、さらに時を進めて公演終了後。
JR中野駅へと流れる人並みにズタズタのヨレヨレの
ボロ雑巾のようになったミツカワの姿があった。

やらなかったのだ…
「Tomorrow Made New」を。

その他のアルバム曲は全てやっておきながら
「Tomorrow Made New」だけが抜け落ちたコンサート…





           『仏造って魂入れず』とはこのことだ。




ただ、である。
まだ救いはあった。

実はこの日、某俳優がゲストに来ていて結構長々とステージ上で喋っていたのだ。
自分はそのせいで1曲削られたのだと、この時点では考えていた。
そして全ての責任をその某俳優に押し付け、早々と絶望から抜け出す。

そうだ、もう一度行けばいいじゃないか。幸い年末に埼玉・大宮ソニックシティ公演がある。

家にたどり着く前にもうこれを決め、
とりあえず「Tomorrow Made New(EXPOバージョン)」 を聴きながら眠りについた。





で、ここから先は皆さんのご想像どおり。
ミツカワは 絶望の年末 を迎えることとなった。

しかしその絶望とは、大宮公演でも演奏しなかったことでは無い。
“ツアー早期にセットリストから脱落した" とツアー終了後に知った事でもない。

真の絶望は、その脱落する直前、
「TOUR TMN EXPO」にて「Tomorrow Made New」が
最後に演奏されたのは中野サンプラザ1日目 だった
ということを知った時である。

つまり…ミツカワの行った日からやらなくなったのだ…




   ビートルズに会えなかった…(的なナニか)





ここに2冊の雑誌がある。
上がキーボードスペシャル。下がキーボードマガジンだ。
どちらもそれぞれ独自に「TOUR TMN EXPO」の取材をしている。



面白いのはキーボードスペシャルは中野サンプラザ初日
キーボードマガジンは中野サンプラザ2日目を取材していることだ。
セットリストを比べれば「Tomorrow Made New」だけが脱落していることが分かる。
(10曲目に注目)

(初日のセットリストに「Think Of Earth」が無いが、これはキーボードスペシャルのミス。
 実際は演奏されている)




実はこの後、「TOUR TMN EXPO」ではセットリストの変更が相次ぐ。
その結果、最終的にはアルバム「EXPO」の裏メインテーマとも言える
「Think Of Earth」すら演奏されなくなり、
ここまでくると、もはやアルバム「EXPO」を冠したツアーなのかも疑問だ。

このコンセプトのブレ方やその後のTMNを考えると、
この時点ですでに内部的にはいろいろあったのではとまで疑いたくなる。




しかし、それにしてもわずか1ヶ月で脱落してしまった「Tomorrow Made New」
ふがいない限りだ。
お母さんはあなたをそんな子に育てた覚えは
ありませんよ!!(喝)




 『全曲フルに再現するのは、今回大前提になってるんですね。
  パビリオンということでやっているから、1ケ所閉館というのもおかしいしね。
  フルエントリーですね』ツアー開始直前、小室哲哉の発言

…この言葉をかみしめて24年。
ミツカワの傷は未だ癒えない。







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♫ さあ、オルガンの数を数えろ。


まぁこれだけではなんなので、少し 重箱のスミ!っぽい話を。
ではなぜ
「Tomorrow Made New」は脱落したのか?という話。

世間巷では "次曲「WILD HEAVEN」のシーケンスデーターを読み込む時間が確保できず、
曲間に妙な間ができてしまうから外された" というのが定説として語られている。



            これ、本当にそうなのだろうか?



「TOUR TMN EXPO」と言えば、ほぼ全曲で打ち込みが有り、
ここの部分だけが突出して問題化するというのは不思議だし、
もし仮にこの説通りだったとしても
・曲順を入れ替える
・先にシーケンスだけ抜けて、次の曲のロードを始める
など回避方法はあるはずだ。

この説の出所 はどうやらツアー中に出版された、
藤井徹貫・著「TMN EXPOストーリー(上)」のようだ。
とりあえずこれを確かめるため…というか、これを確かめるため だけ に、
昨年こちらのエントリーを書く際、同時に購入しておいた。(まだ読んでないが)





まずこの説の検証に入る前に、大前提 を書いておかなければならない。

非常に屈辱的ではあるが、そもそも「Tomorrow Made New」という曲は
アルバム「EXPO」の中で浮いている(というより沈んでいる)
ということは 認めざるを得ない。


小室哲哉はアルバム「EXPO」リリース時のインタビューにて
"曲作りよりも曲順を決めることに苦労したアルバム。何度も何度もやり直した”
と語っていた。
確かに個性豊かな 曲者ぞろい で、
これらを並べてひとつの流れを作るというのが難しい事は、素人でも想像がつく。

その "流れを作る” と言う意味では、
地味に「Tomorrow Made New」をどこに置くか?も悩みの種だったと思われる。
それほどこの曲はアルバム「EXPO」の中で、どこに置いても沈んでしまう曲と言えるだろう。
(現在、歯ぎしりしながら執筆中)



これはツアーでも同じだったと思う。

ツアーでは中盤の
  フォークコーナー → メタルコーナー
   → 浅倉大介ソロコーナー →「月はピアノに誘われて」 が終わり、
再び舞台上にバンドがそろって、後半スタートという1曲目に演奏されていた。
(先のセットリストを参照)


いよいよこれから最後の盛り上がりとなるこの位置で演奏する曲なのか?
という疑問は、ミツカワですら悔しいが抱かざるをえない。

なので 元々その立場は危うかった、ということはあったと思う。
その収まりの悪さから、何か問題が起これば、
真っ先に削除リストに上がる曲だった、という前提で以下を進める。






で、「TMN EXPOストーリー(上)」だ。

このエントリーのために初めて目を通したが、
もう悲しくなるほど「Tomorrow Made New」という文字列は印刷されていない。
とりあえず確認できたのは3箇所のみ。
そのうち当エントリーに関係する2箇所を順番に見てみよう。


まず14ページ目。
ツアー初日公演が終了した時点での、演出家・鬼塚玲二とメンバーで所感を述べ合う場面だ。




この通り、データーロード時間に起因する問題について鬼塚玲二がまず口にしているのは、
むしろ「WILD HEAVEN」とその次の「JEAN WAS LONELY」であり、
それに呼応する形で宇都宮隆が「Tomorrow Made New」の名を出すという流れだ。

やはり単にデーターロード時間だけなら
「Tomorrow Made New」だけの問題ではなかったのだ。



もう1カ所。こちら53〜54ページにわたっての小室哲哉と舞台監督・松村義明の会話




小室哲哉がこの問題についての1つの解決策を提案している
この方法も先に書いた通り、非常にオーソドックスな解決方法だ。

これにより極寒の問題(注)一応の解決を見たともとれる。

   (注)本当は『曲間の問題』と打ち込んだのだがこのように誤変換された。
      あまりにも自分の心を表しているので、あえてそのままとする。

他の資料をあたっても、中野サンプラザの時点までこの問題を引きずっていたとはとれない。
こうしてみると「Tomorrow Made New」の脱落に関しては
データーロード時間が直接的な原因ではないのでは?とミツカワは考えるのだ。
(むしろ先の流れに対する収まりの悪さの方が問題としては上位なのではないか)






しかしその上で「TOUR TMN EXPO」における「Tomorrow Made New」は
もう一つ問題を抱えていた のだ。





それはこの曲だけのために もう1台オルガンを用意し、
この曲を演奏する時だけ引っ張り出す & 終わったら片付ける。
という手間が必要だったということ。

ミツカワはデータロード時間よりも、
こちらの方の 時間ロスと演出的な微妙さ が問題視されたと考える。



この画像を見て欲しい。
「TOUR TMN EXPO」(ホールツアー)における小室ブースだ。(注)
ご覧のように元々オルガンはブース内に1台セットされている。(矢印部分)

余談だが、DVD化されているアリーナツアー
「TOUR TMN EXPO CRAZY 4 YOU」でのセッティングとはかなり異なっている。
TM史上、ホールツアーとアリーナツアーで
ここまでセッティングが変わったのは「TOUR TMN EXPO」だけだ。

















  (注)ただ厳密に言うと、このセッティングになるのはツアー2日目から。
     初日はキーボードスタンドA・Bがそれぞれ2段組となっていて、
     Aの上段にYAMAHA SY99 下段にシンクラヴィア・キーボード 
     Bの上段にメモリーモーグ 下段にターンテーブルというセッティングだった。

     しかしこれではスクラッチ中の小室哲哉が観客に背を向けることになり、
     ナニをやっているのか伝わりにくい、という理由で急遽組み替えられた。




話を戻すと、元々オルガンはセットされているものの、
こんなに上に積み上げてしまっては「RHYTHM RED TMN TOUR」で見られたような、
お得意の激しいプレイは無理だ。




そう、「Tomorrow Made New」で使うのは
このオルガンではないのだ。





次の画像を見てみよう。少々分かりづらいが上下2枚の写真が印刷されている。
一番下の鍵盤が小室ブースにセッティングされているハモンドオルガン。(上記の矢印部分)
しかしこの画像をよーく見てほしい。
この中にもう1台ハモンドオルガンが写っているのが分かるだろうか?






           ・・・・・




                 え?分からない?



では、画像右上を拡大してみよう。
もう1台のハモンドオルガンはここだ。











           ・・・・・





みんな、すまんのう…。

なにせ「TOUR TMN EXPO」(ホールツアー)自体が全く商品化されてないうえに、
「Tomorrow Made New」はたった1ヶ月で脱落したもんだから、
マトモな資料が残ってないのよ(号泣)

おまけにこのツアー、メディアへの写真取材解禁日がこの中野サンプラザ初日だったのだ。
つまり外部メディアが「Tomorrow Made New」を
カメラに収めるチャンスはこの日だけ しかない!
はっきり言って期待しても無駄である。
あとはアーティスト側で撮影したものから見つけ出すしかない。







というわけで皆の衆!
ミツカワにも意地ってものがあるのだ!!
この絶望的な状況の中、
分かりやすい写真を2枚見つけ出したので御覧いただこう。


まずは
もう一台のハモンドオルガンの設置状況 がはっきり分かる写真。




小室ブースとその奥にある舞台セット2階部分につながる階段との間に、
もう1台オルガンがあることが分かるだろう。

小室哲哉はこれを「Tomorrow Made New」の時だけ向きを整え、演奏するわけだ。
(さらにこのオルガンの奥にはレスリースピーカーが2台、それぞれ専用に並べられている)




で、その演奏シーンがこちら。



小室哲哉がブースの外に出て演奏していることがわかる。
「RHYTHM RED TMN TOUR」 での「World's End」みたいな感じだろうか。
ただし残念ながら、この写真はツアーそのものではなくリハーサル時のもののようだ。

で、演奏が終わったらまた元に戻し、小室哲哉はブース内に戻り「WILD HEAVEN」に備える。


…というわけで、セットリスト上の位置を考えてもこの演出は微妙っす…。
これでは「Tomorrow Made New」氏、
試合が始まる前から既に負けていた と言えるだろう。





もっともこの演出がもし「WILD HEAVEN」であったら、
何しろツアーで先行発表するという目玉曲の1つであったので、
万難を排してでも演奏されただろう。
考えてみれば、この「Tomorrow Made New」→「WILD HEAVEN」という曲順は、
前ツアーでの先行発表曲 → 今ツアーでの先行発表曲 という流れだったわけだ。

ちなみにツアー後半に入ると「LOVE TRAIN」を差し置いて
「WILD HEAVEN」がオープニング曲の座に座る。
この扱いの差…。どこで差が付いたのか。慢心、環境の違い…。

さすがにツアー開始1ヵ月・全66公演中12公演でおろされては、
映像どころか音声すら収録されていないと思われる。




       good-by 俺の青春。




以上、
「Tomorrow Made New(EXPOバージョン)」こじらせ系中年、
ミツカワがお伝えいたしました。ウウゥ…


んじゃ、また。
ウウゥ…









2015年10月28日水曜日

Let's ネガティブ☆ 〜後ろ向きで行こう〜 その1


  おしらせ

 もうお気付きの方もいらっしゃると思いますが、
 今回より当blog主の名前を『ポコ太』改め『ミツカワ』とさせていただきます

 当初は "あちらではミツカワ” "こちらではポコ太” と使い分けようとしていたんですが、
 このGoogleアカウント紐付け時代。
 一箇所名前を変更すると、意図しない部分まで
 自動的に変わっちゃうんですな。G+ とか youtube とか…。

 そんなこんなでカオス的状況が生まれつつあったので、
 もういっそのこと統一してしまおうというわけです。
 なんだか今更ではありますが、これからは ”ミツカワ” としてよろしくお願いいたします。

 もっとも名前が変わったからといって、
 背が5センチ伸びたとか、可愛い彼女ができたとか、
 血液がサラサラになった、とかは一切ありませんのでご安心ください。

 …一切ありませんので…

     …ありませんので…

                              …orz








さて!今回から始まる新シリーズ。Let's ネガティ…



…て、おい!
「Kiss Japan Dancing Dyna-Mix」
どこいったんだよ?!

申し訳ございません。
KDD最終編のエントリーは諸事情により11月末にさせていただきます

なお諸事情はあくまで諸事情ですので、決して
コマ送り再生のやり過ぎでドライブが壊れたから では…?
とか、そういう詮索はなさらないでください。

あくまで、やむを得ない諸事情であります。





で、今回はなにかというとですねぇ…まあ一言で言って
『TM NETWORK 版 どうしてこうなった?!』です。

このネタ、実はかなり前から温めていたんですよ。
ただ 内容的にどーなの、これ?と思って、
今の今まで放置してあったんですな。

今回ドライブが…いや、諸事情によって急遽別のネタが必要になったため、
ようやくお鉢が回ってきたというわけです。
しかも書き出したら止まらない(笑)

というわけで今回より "秋のネガティブ祭" と称し、
3週連続でネガティヴの波状攻撃をお送りします。
これが終わる頃にはドライブも直って…いや、なんでもないっす。


じゃあみんな!(後ろ向きに)行くぜ!!
Let's ネガティブ☆






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ネガティブ☆その1
DVD「FANKS "FANTASY" DYNA-MIX」


DVD「FANKS "FANTASY" DYNA-MIX」のオリジナルである同タイトルビデオは
1986年12月に発売された。

これは同年8月によみうりランドで行われた野外ライブ
「FANKS "FANTASY" DYNA-MIX」に、
同年6月〜7月の全国ツアー「FANKS DYNA-MIX」の中野サンプラザ公演を織り込んだもの。

旧TM NETWORK時代のビデオとしては収録時間・内容ともに、
非常に満足のいく買い物であった。



























…はずなのだが…、だが、しかし!
このビデオ、ミツカワにとっては1回見たきり、
ほとんど見ないビデオになってしまった。


落とし穴は映像ではなく音。


とにかくスネアにかかったゲートリバーブが終始、
ドシャーン!バシャーン!とうるさい、うるさい。
これではTMならではの細かい音に耳がいかない。




別に自分はゲートリバーブが嫌いというわけではない。

ただ同じゲートリバーブでも
"良いゲートリバーブ" と "悪いゲートリバーブ" があると思っていて、
このビデオで聴けるスネアの音は、
正に典型的な ”悪い(品のない)ゲートリバーブ” だったのだ。


ということで独断による、良いゲートリバーブと悪いゲートリバーブの基準。

・良いゲートリバーブ → 迫力を出しつつも、音の芯が残っている。
・悪いゲートリバーブ → 芯が消えてしまい、音像がぼやけてしまっている。うるさいだけ。

音楽って100%主観なので、ここは『こういう好みの奴がいる』ということでご勘弁願いたい。




           で、





ここで声を大にして言いたいのは、
"実際のライブはこんな音ではなかった" ということ。


実際のライブではスタン!といった、ごくノーマルなスネア音で、
全体的な音の印象も、暮れてゆく夏の野外ステージにマッチした、
爽やかで少し気だるい感じの音だった。

このDVDで聴けるドシャーン!バシャーン!という非常に暑苦しい印象のスネア音は、
あくまで商品化の際 ”当時流行りの音” に加工されたもので、
実際のライブの音とは 全く別物にされてしまっている のだ!




ぐぬぬ…余計なことを…。

とはいえ、当時はこのもどかしさを人に伝える術がなく、
二重のもどかしさを抱えていた。






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しかしこの、ひとりでは解けないもどかしいパズル。

2004年に発売された限定BOX
「WORLD HERITAGE DOUBLE-DECADE COMPLETE BOX」に封入された
DVD「"BEE" presents TM VISION」によって、
一気に分かりやすく伝えることが可能になったのだ!




このDVDの終わりのほうに入っている「Come On Let's Dance」のライブ映像を見てほしい。
























頭一発目から破壊的なスネアが鳴り響いている。これは先のDVDで聴ける音と同じだ。




ところが、その後に入っている「passenger」のライブ映像では
スネアの音が全く違う。




この「Come On Let's Dance」と「passenger」は、両方とも、
DVD「FANKS "FANTASY" DYNA-MIX」の中盤に収録されている
「雨に誓って」などと同じ1986年7月の中野サンプラザ公演であり、
さらにこの2曲は、間に「Give You A Beat」を挟んで続けざまに演奏されたものなので、
こんな極端にドラムの音が変わるわけがない のだ。



























つまり
本来のライブは「passenger」で聴ける音
だったということ。

「Come On Let's Dance」の方は当時テレビでも流れたところをみると、
最初から、公に出すために外行きのお化粧をされていたのだろう。
で、その予定がない自宅待機の「passenger」はすっぴんのままだったということだ。



DVD「FANKS "FANTASY" DYNA-MIX」の話に戻るが、
1986年8月・よみうりランドでの野外ライブで実際に聴けたのは、
この「passenger」のスネア音と同じであった。
”この音” と ”あの音” では楽曲全体の印象が、
かなり異なることが理解していただけたろうか?


この
”商品化されているのにあの時の音が聴けない”
という、なんとももどかしい状況。

本当に余計なことしてくれた、と小室哲哉を恨みかけたのだが、
『もう一度あの時の音が聴きたい』というライブを作ったのも小室哲哉なのであり、
怒りの持って行き場のない状況に追い込まれたミツカワなのであった。






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なお冒頭で、当時としては非常に満足のいくパッケージだったと述べたが、
このときの見所としては他にも

 ・野外ステージならではの演出を含んだ10分近い演奏の「1974」
 ・カントリー&ウェスタン調にアレンジされたうえ、
  旧ライブバージョンのメロディーで演奏された「クロコダイル・ラップ」
  (その直前まで行われていた全国ツアーではレコードと同じメロディだったのに)
 ・旧TM NETWORKとしては最後の演奏となった「タイムマシン」

など沢山あり…

…突然、なんでこんな事を書き出したかというと
「FANKS "FANTASY" DYNA-MIX」って、
来年30周年なんだなぁって……

今のメディアなら収録時間の制限とか気にしなくていいからなあ…
30周年かぁ…30周年ですよね…



まあ、こうやって夢を見て毎年毎年 ズタボロに傷ついてきた んですけどね。




で、だ。

ミツカワのネガティブはこんなレベルではとどまらない!
実は もっと深刻な問題 があるのだ。






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個人的にTMで1番好きなアルバムは「Childhood End」なのだが、
人にオススメを聞かれた場合は
まず「Self Control」か「humansystem」を勧める。

特に楽曲という点に絞ると、全アルバムの中でも「Self Control」は粒ぞろいだと思う。
実はほとんどの曲は自分の好みでは無いのだが、それでも客観的にみて名盤だと思う。





























が、しかし
このアルバム「Self Control」、ミツカワはほとんど聴かない。
いや、聴けないのだ


理由は先程と同じ。


DVD「FANKS "FANTASY" DYNA-MIX」と製作時期が近いため、
当時流行りの音ということで、冒頭の「Maria Club」から
ドシャーン!バシャーン!の連続。

「FANKS "FANTASY" DYNA-MIX」に比べると随分マシではあるものの、
やはり 同じ傾向の音 にされている。

これでは音楽を楽しむという気分にはなれないのだ。
(ただ、こちらで書いたように「Maria Club」の変則的なスネアのパターンは、
 このインパクトのある音色まで含めて考えられたものだろうな、とは思う)




そうはいっても、一応DVD「FANKS "FANTASY" DYNA-MIX」に比べ
「Self Control」はスタジオ作品なので、曲毎に細かく音が作りわけられている

比較的まともなのは「All-Right All-Night」と「Fool On The Planet」の2曲
それに対し酷いのはタイトル曲「Self Control」だ。

念のため書いておくが楽曲の優越の話ではなく、
あくまでスネアにかかったゲートリバーブの話である。




というわけで次作「humansystem」が出たときは、
1曲目「Children of the New Century」の
スネアが鳴り始めるまでの43秒間、ドキドキもん であった。

結果的にこの心配は稀有に終わったわけだが、実際この観点から聴くと、
アルバム「humansystem」のスネア音は迫力を出しつつも、
どれも芯があり音像がはっきりしていることが分かるだろう。




この ”悪いゲートリバーブ” というのは80年代を象徴する音 でもあるので、
批判し出すと際限なく広がってしまうのだが、
とにかく嫌いなものは嫌いなので仕方がない。

と、ここまで書いて思い出したが、
ミツカワがこの問題で悶え苦しんでいた数年後(1990年頃?)
坂本龍一がインタビューで
『最近の流りで、もう歌と(ゲートリバーブをかけた)スネアしか聴こえないようなのが
 あるじゃないですか。ポーラ・アブドゥルとか…』
と 語っておりました。



  いたなぁ、ポーラ・アブドゥル(←そこかよ)



もうお願いだから「Self Control」は30周年記念盤で
”ナチュラル・リミックス” とかして2枚組で発売してほしいものである。

 「ミツカワ、TM聴こうと思うんだけどオススメ何?」
 「まずはセルフコントロールじゃないかな」
 「お前、よく聴くの?」
 「ううん。全然聴かない」
 「……」

↑この会話、今まで何回繰り返したことか!
名盤なのに聴く気になれないって、結構つらいのよ…トホホ…。




ただ、である。

アルバム「Self Control」はこのスネア音まで含めての作品』ではある
ので諦めはつくが、DVD「FANKS "FANTASY" DYNA-MIX」に関しては、
本来のライブの音から改変されている わけで
(好きなライブだけに)諦めはつかないのだ。

来年で30周年ですね…。






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さて、有無を言わせず始まった新シリーズ。
次回はTMのあの名曲 を採りげます!
お楽しみ…にはなさらないでください…。(←ネガティブ・スピリッツ)


なお、当エントリーの趣旨にてらし、
本コメント欄でのポジティブな言葉はご遠慮ください。
皆様からの 至極のネガティブ☆コメント をお持ちしておりますぞ!


んじゃ、また。










2015年9月25日金曜日

コロシアムを暴け・下準備編 /「FANKS the LIVE 2」を暴け!☆ 中編

ミツカワです。
今回は語るべきことがギッシリあるので、前置きなく始めます。

前回のエントリーをお読みいただいていることを前提としているので、
まだの方はこちらからお読みください。




また参考資料として、ARENA TOUR
KISS JAPAN DANCING DYNA-MIX(以下、KDD)全13公演の日程を書いておきます。

・ツアーの開始が、東京代々木体育館3公演であること
・広島公演がツアー最終盤であること
をご確認ください。

1988年(2月26日 Kiss Japan Tour 終了)

3月14日 国立代々木競技場第一体育館
3月15日 国立代々木競技場第一体育館
3月16日 国立代々木競技場第一体育館
3月19日 名古屋市総合体育館レインボーホール
3月20日 名古屋市総合体育館レインボーホール
3月23日 新潟市体育館
3月24日 新潟市体育館
3月26日 仙台市体育館
3月29日 大阪城ホール
3月31日 大阪城ホール
4月2日 福岡国際センター
4月4日 広島サンプラザホール
4月6日 神戸ワールド記念ホール







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前回では、このライブ映像におけるテイク違いを
バンダナやアクセサリーなどを目印にA・B、2つのタイプに分けた。

今回はまず、本題に入る前に
タイプAが代々木公演のものであること
を確認しておこう。

キーとなるのは、前回の最後に少し触れたが、
舞台上手側に設置された独特の大型カメラである。


この大型カメラは、タイプAの特徴である、
サポートメンバーがバンダナを着けている映像と同一画面中に写っている。
(この手の細かい部分は本来、静止画より動画の方が分かりやすい)

























逆にタイプBの映像には写っていない。

よって、サポートメンバーや宇都宮隆のアクセサリーが確認できない映像でも、
このカメラが写っていればタイプA と判断できる。




その上でこの画像の特徴的な天井の形を見れば、
この大型カメラが設置してあるのが、代々木体育館であることは明白だ。























よって、タイプAが東京代々木公演であることが確認できる。







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さて問題はここからだ。
前回のエントリでは、このDVDに3種類の映像がなければおかしいと書いた。

1)eZで放送された映像には代々木と広島の映像が使われていることが明記されている。
2)このDVDには3月15日収録とクレジットされている。
3)しかし、よく見ると3月16日の映像も混ざっている。

つまり本来なら、このDVDから
広島+代々木2日目+代々木3日目の3種類の映像が見つからなければならない。


広島についてはタイプBであることはすでに述べた。
(広島は元々1公演しか行われていない)

ということは
タイプAの中に2日分の映像が混ざっている
ことになる。







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とりあえず 1)と3)について説明しておく。
1)に関しては画像の通りである。





























次に3)であるが、これは少々説明が長くなる。

ここでは別の検証材料を引っ張り出してくる。
このDVDの元となったビデオ「FANKS the LIVE」シリーズが発売された1989年当時、
シリーズ全3巻をまとめて予約すると抽選でプレゼントされた、
4本目の映像作品「FANKS the LIVE 4」

これはシリーズ3作品からそれぞれ1曲ずつ、アウトテイクを収録したものだ。
本エントリーの主役「FANKS the LIVE 2」からは
ライブ後半で演奏された「All-Right All-Night」が収録されている。


そしてもう一つ。
このツアー、KDDでの演奏が収録されたCD「TMN GROOVE GEAR 1」である。
このCDに「All-Right All-Night」が収録されている。


そして何より重要なのは、この「TMN GROOVE GEAR 1」、
「All-Right All-Night」を含むKDDの音源に関しては、
ライナーノーツに 3月16日収録とはっきり書かれている。

つまりこの音源とビデオの演奏の映像がぴったりと合っているカットがあれば、
それは3月16日の映像ということになるわけだ。






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まず、この音源の特徴的なところを探そう。

1番最初に気づくのは、歌詞を間違えている ことだ。
1番のサビで、本来なら ♪〜 悲しみと傷みと苦しみと憎しみ と歌うべきところを
♪〜 きっと今夜君ならば間違いと言えるさ と歌っている。

もう1点は、小室哲哉のシンセソロ部分。
このフレーズ自体も足がかりになるが、
3分59秒の部分でリズムが前のめりになってしまっている。

とりあえずこの2点を頭に置いて「FANKS the LIVE 4」を見てみる。




先にシンセソロの方を確認するが、フレーズが完全に同一なのは当然として、
モジュレーションやピッチベンドをかけるタイミング、量も一致している。
さらに該当部分の映像見るとその瞬間、小室哲哉がジャンプしている。
それでリズムがヨレてしまったのだ。



次に歌詞間違いの方を見てみよう。
映像では問題の箇所だけカットが変わる。それがこの画像だ。

























後ろから撮っているので、はっきりと判りづらいが、
♪〜 きっと今夜君ならば間違いと言えるさ と歌っているように見える。
逆に『♪〜 悲しみと傷みと~ と歌っているのだ』と思い込んで見てみたが、
やはり映像の口元とズレてしまう。



この他にも、例えばエンディングにてそれぞれがフリーに演奏するところでの
松本孝弘のギターフレーズも一致する。





この3点を合わせてみれば、この映像の音とCDの音源は同じテイクが元となっている

CDのクレジットを信用するなら、
この音とぴったり合っている3つのカット及びシーンは、
3月16日の映像ということになる だろう。






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もうひとつ。
先ほどから『代々木内に2種類の映像』と連呼しているが、
代々木は三日間連続公演であったため、
クレジットされていないだけで "3種類目の映像” があってもおかしくは無い。

一応、初日である3月14日の映像が混じっていないことを確認しておく。



まず初日とそれ以外の公演では、大きな違いとして、
初日のみ「Dragon the Festival」が演奏されていない。
しかしこのDVDの最後に収録されているダイジェスト映像見ると、
かなりの割合で(代々木・広島、両方とも)
「Dragon the Festival」の映像が収録されている。

      「Dragon the Festival」上:代々木公演 下:広島公演


















































また初日のみ、ライヴ前半の「Resistance」と後半の「Nervous」の
曲順が入れ替わっていたそうだ。
このDVDに収録されている「Resistance」は宇都宮隆の衣装を見れば、
ライブ前半の演奏であることがわかる。
よって初日の映像では無い。




さらにこれは決定的だが、初日は宇都宮隆の衣装が違った。
この衣装の映像はDVD中、どこにも収録されていない。


























以上のことから、このDVDには初日の映像は含まれておらず、
そもそも収録自体、行われていない可能性が高い。
(テレビ局の取材カメラは入っていたようだが)







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というわけで、ここまでやったうえで、
ようやく本題の "もう一つの代々木映像” を探す旅 に出る。


とりあえず何度見ても、タイプA・Bのような明確な違いは見つからない。
そこでバンダナのような "アイテムを見つける" ことは諦め、
カットの繋がりに不自然な点がないかを探すことにした。

同じ タイプA同士でカットが繋がっていない部分 があれば、
それは別テイク ということになる。


ところがこの手法、最初から大きな障壁が立ちはだかった。
このDVD。
カットの繋がりが7割から8割方、タイプA → B → A → B ~ となっているのだ。
これではタイプA同士の別テイクを探ることができない。

とにかくAの別テイク(タイプA’ とする)が 存在することを信じて、
ただ、ただ、無心に映像を見続ける。





               …で、だ。諸君。





とりあえず結論から言うとタイプA'は確かに存在した。
しかしだ。
ミツカワが自信を持ってこれがタイプA'と言えるのは、このワンカットのみ。
















こんな遠景のワンカットから、
どうやって日付を割り出すというのか…。

正直、暗たんたる気持ちになったのだが、
とりあえず今回はこれが別テイクであるということを説明しておこう。

ちなみに疑わしいというレベルでは他にも数カットあるのだが、
自信を持って断言するには至らない。
これは次回までの研究課題とする。






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では説明。
このカットは、1曲目「Be Together」の最後のサビに入ったところだ。
順を追って見ていこう。

この部分のカット割りは

1)最後のサビに向け、舞台後方にいた宇都宮隆が前方に飛び出してくる
2)その正面からのアップ
3)問題の遠景画像
4)再び正面からのアップ

という流れになっている。





まずカット1)の画像には奥に大型カメラが映り込んでおり、
代々木の映像であることが分かる。画像:参照)

このカットの最後で宇都宮隆が画面からはみ出してしまい、画像:参照)
2)との繋がりを確定させることは厳しいが、
宇都宮隆のステップのリズム、歩幅等から繋がっていると判断した。
(木根尚登については決められたステップを踏んでいるのと、
 あまり特徴的な動きがないので判断材料としにくい)




















































次にカット2)
宇都宮隆の首にアクセサリはかかっていない。画像:参照)
引き続き、代々木の映像である。

このカット2)の最後で宇都宮隆は左腕を高く掲げ、客席から見て左側を指差す。
画像:参照)

ここでカット3)に切り替わる。





















































カット3)
遠景なので非常に分かりづらいが、よく目を凝らして見ると、
切り替わった時点では宇都宮隆の左腕は下におりている。画像:参照)
そしてそこから正面、ないしは客席から見て右側に手を差し出す。画像:参照)

これは画像では伝わらないと思うので、
ぜひご家庭でDVDをコマ送りしていただきたい。

さらにこのカットには、先に挙げた大型カメラも映っており、
また会場の構造からも代々木体育館であることは間違いがない。
断言はできないが、日詰昭一郎もバンダナをしているように見える。












































このカットの最後で宇都宮隆は差し出した左手を引き戻そうとしているが、
その手が戻りきる前に…








カット4)
一足早く、宇都宮隆の左腕はマイクスタンドのところにある。画像:参照)
このカットでも首にアクセサリはかかっていない。画像:参照)
つまり代々木である。




















































というわけで、全てのカットが代々木公演の映像であるにも関わらず、
カット3)だけが、その前後と繋がっていない。
つまり 代々木公演の別テイク=タイプA’ だ、
ということがお分かりいただけただろうか。







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ただ話を戻しますが、このカット3)

大河の中から砂金を拾うようにして手に入れた、貴重な貴重な別テイクではあるものの、
こんな遠景のカット1つだけあっても、
これが15日か16日かなんて判断つかないよ、パトラッシュ…。

なんだか限界にぶち当たったような気もしますが、
多分、ここからが本当の勝負なんでしょうね。

狙い通りに タイプA’ を見つけ出すことに成功したというのに、この敗北感。
こういうのを試合に勝って、勝負に負けたと言うのでしょうか…。
まあ、なんの試合だよ!って話ですが…。


というわけで次回にて、この "血を吐きながら続ける悲しいマラソン”
DVD「FANKS the LIVE 2」編、最終回となる予定です。


んじゃ、また。