2014年9月15日月曜日

Get Wild 様、爆現! ~ 気をつけて、その一小節が命取り。

ポコ太です。

さて今回はついに、このインターネットの果ての果て、
重箱Blogに、泣く子も黙る「Get Wild」様が降臨!!

とうとう『重箱のスミ!』も人気取りに走ったのか?




というわけで
「Get Wild」に全く愛のない男、ポコ太が贈る、
たぶん最初で最後の「Get Wild」エントリーをご堪能下さい!






☆おことわり☆

今回のエントリーでは
 “キック” と “バスドラ(バスドラム)” という言葉が混在しますが
どちらも呼び方が違うだけで、同じ物です。

特に決まりがあるわけでは無いのですが、なんとなく昔からポコ太は
・キック → 打ち込みのドラム。もしくはそのように聴こえる芯の詰まった固い音色
・バスドラ → 生ドラム。もしくはそのシミュレーションによる柔らかい自然な音色
と呼び分けています。

以下の文中も、それに従って書き分けていますが、
あくまで ”なんとなく” という話ですので、深い意味は有りません。
読みづらい点もあるかと思いますが、どうぞご了承下さい。







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1989年8月に行われた「CAMP FANKS!! ’89」での
「Get Wild ’89」は商品化にとても恵まれており、
編集素材の一部としても含めると、全4公演中、
8月26日・29日・30日の3テイクが聴けるという、よりどりみどりの状況となっている。
この状況、一部でもいいから 他の曲に分けてあげたい…。


…というグチはともかく、これが世に出た順番を確認しておこう。

(1989年)ビデオ「FANKS the LIVE 3 CAMP FANKS!! ’89」
          ↓
(1992年)CD「TMN COLOSSEUM Ⅰ」
          ↓
(2004年)DVD「CAROL the LIVE」



今回は、そのイントロ部分に注目する。






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発端は1992年発売のCD「TMN COLOSSEUMⅠ」であった。

実はポコ太、これに収録の「Get Wild ’89」
(このCDでは「Get Wild」と表記)を初めて聴いた時、
何とも言えない違和感 を感じた。

すでに3年前に発売されていた、
ビデオ「FANKS the LIVE 3 CAMP FANKS!! ’89」と同じアレンジなのに
一瞬よぎる、この妙な気持ち悪さはなんだろう?
誰かやらかした?


ただ、そのときは特に興味が無い曲だったので
それ以上に思うことはなく、
いつしか耳が慣れてしまったこともあり、この違和感も薄れていった。







しかし2004年、DVD「CAROL the LIVE」が発売されたとき、
再び、この違和感が再燃した。




    そうか、ドラムが気持ち悪いんだ!




正確に言うとドラムが始まってから、初めてタムを回す
"フィルイン” までの小節数が半端(1小節多い)なのである。


『こりゃ、ベーアン(ドラマーの阿部薫)やっちまったなあ。ニヤニヤ』


と思ったが、改めてアルバム「DRESS」収録の原曲の聴き直して驚いた。
原曲自体、曲の頭から打ち込みのバッキングが鳴り始めるまでの小節数が半端なのだ。
つまり阿部薫は原曲通りに叩いているにすぎない。


では何故、原曲には感じない違和感を
この Live ver. に感じたのだろう?






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その原因は、2小節毎に入る キックのフィルイン にある。

原曲では、まずパーカッションのみが4小節鳴り、5小節目からキックがスタートする。
この5小節目の4拍目で16分音符を混じえたキックのフィルインが入る。
以降、細かく譜割を変えつつも、2小節毎にフィルインが入る(譜面参照)

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この時点ではフィルインが入るのが、5・7・9 などの奇数小節
フィルインが入らない、4つ打ちだけなのが、6・8・10 などの偶数小節と感じる。

まだキックと、ループするパーカッションしか鳴っていない為、
表(奇数小節)か裏(偶数小節)かを判断する材料が
頭からの小節数しか無いからだ。


しかし頭から8小節過ぎた後、余分な1小節を挟み、
10小節目から、爆発音のSEとともにコードバッキングが始まる。
ここで初めて


   「さっきまでの9小節は、表・裏が逆になっていた のね!」



という、アハ体験(死語)が起こる仕組みだ。






つまり5小節目に入っていたフィルインは、
『奇数小節みたいな顔してますが、実はワタクシ
 偶数小節(この場合、4小節単位の4小節目)ですの(注)
と、いう 裏メッセージ だったのだ。
(注)言葉づかいは「ざます」でも「ごわす」でも、自分の好みに差し替えてくだされ。






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では、この構造を頭に置きつつ
再度、CD「TMN COLOSSEUMⅠ」収録のライブ版「Get Wild ’89」を聴いてみよう。
同じ構造のはずなのに、
何故、こちらには違和感を感じるのか?




それは、原曲のキックが発していた "裏メッセージ" を、
阿部薫が派手なタムのフィルインに置き換えてしまったからである。

その為、先の『奇数小節みたいな顔してますが』の部分が消し飛び、
最初から『ワタクシ偶数小節ですの』という、
はっきり伝わる "表メッセージ" に変換されてしまったのだ。




         いわばネタバレだ。





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キックのフィルインとは違い、派手なタムのフィルインが入ると
聴き手は無意識に、大きな節目を感じる。
つまり、4小節目なり8小節目なりの偶数小節と認識するわけだ。


そうなると本来、頭からの小節数があやふやになった10小節目(注)
突然訪れるアハ体験(死語)が、わずか5小節目に訪れてしまう。
(注)普通、頭から小節数を数えて曲を聴く人なんていないでしょ?


しかし、たった5小節でズレていることに気付くと、
まだ、始まってからの距離を体が覚えている為、単純に
『ドラマーがスタートする地点を間違えた』
様にしか聴こえない。






ポコ太が違和感を感じた理由はここにあったのだ。






ではなぜ初出時の1989年、
ビデオ「FANKS the LIVE 3」の時点では違和感を感じなかったのだろう?


そう!


前回の小ネタで採り上げたように、ビデオ「FANKS the LIVE 3」では、
このトリッキーな仕掛けのドラム・スタート部分が、
ばっさりカットされていたからである!

そして、もしその理由の一因が、
前エントリーで書いたように、阿部薫自身にあったとしたら…。


まさに揉み消し!!
阿部薫…おそろしい子!(すまん。今回もコレが言いたかっただけだ)






             今、話題の男・阿部薫氏の御尊顔







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一応、彼の弁護もしておこう。

はじめは原曲通り叩いたものの、他のメンバーから
『小節数が分かりづれーYo!』と言われてしまい、
泣く泣くベタなフレーズに変えた…。

…と、いうことがあった可能性もあるし、無かった可能性もあるし、
おそらく全く無かった かもしれない。




なお、阿部薫は「CAROL TOUR」終了直後のインタビューで
「かなり自由にやらせてもらえた」と語っている様に
基本的な『キメ』の部分以外は “おまかせ” だったようだ。

実際、「Nervous」のイントロなどは
DVD「FANKS the LIVE 3」と DVD「CAROL the LIVE」で
それぞれ全く違うフレーズを叩いており、その自由さがうかがえる。

キックのフィルイン から タムのフィルイン という変換も
ドラマーとしての生理的感覚 
素直に従っただけではないかと思われる。






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さて、ドラマーの生理的感覚、というと分かりやすいのが
「Maria Club」だ。


アルバム「Self Control」収録の「Maria Club」は、
そのドラム・パターンにクセがあり、非常に特徴的だ。

基本パターンとしてBメロを除き、スネアが16分音符前にずれる
いわゆる ”前にクった” パターンとなっている。



しかもイントロ部分では2拍目・4拍目、ともに前にクっているのに対し(譜面1)
Aメロ、サビでは4拍目のみ前にクう(譜面2)という変則的なパターンとなっており
これも先の「Get Wild ’89」のキックと同じく
『打ち込み的発想』と言えるだろう。













          (譜面1)イントロ・間奏などでの基本パターン













            (譜面2)Aメロ、サビでの基本パターン






しかしそのせいで、ドラムだけに集中して聴くと、
イントロからAメロに移った瞬間、
ガクンとノリが変わったような印象を受け、ぎこちなさが拭えない。


これがこの曲の味ともいえるが、この曲の
"素直に楽しんでノれるダンスチューン" という立ち位置を考えたとき、
このこだわりの必要性には疑問を感じる。


案の定、アルバム「DRESS」に収録されている
Christopher Currell が手掛けた、リ・プロダクションバージョンでは、
"無かったこと" にされ、
スネアはシンプルなパターンに差し替えられてしまっている。

影響力のあるスネアを2拍目・4拍目にしっかり固定させ
バスドラは割とランダムに動かして弾んだ感じを出し、
華やかさはパーカッションで、という意図のようだ。









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さて、この「Maria Club」。
ライブでは現在(2014年)までのところ、

「Fanks! Bang The Gong Tour(1987年3月~5月)」
「Fanks Cry-Max(1987年6月)」
「Kiss Japan Tour(1987年11月~1988年2月)」

の、通算でも1年間しか演奏されていない。(ポコ太涙目)


では、これらのライブでドラムを担当した 山田亘 は、
このクセのあるドラム・パターンを、どう処理していただろうか?



先に述べたように原曲では、
Aメロ、及びサビの4拍目が前にクっていたのだが、
面白いことに山田亘は、これを
2拍目と4拍目を逆に、
つまり2拍目の方をクわせて演奏している




















さらに

・イントロ部分と歌中の違いも無くし、このパターンをBメロを除き、全編通して演奏。
・原曲のAメロ・サビでは2小節1パターン(先の譜面2参照)だった部分も、
 この1小節パターンを、通して演奏。


このようにシンプルに再構築された結果、
イントロからAメロに移った瞬間、ガクンとノリが変わったような感じが無くなって、
最初から最後まで、素直にノれる演奏となっている



スタジオにて頭でこねくり回したものより、
山田亘の持つ、ドラマーとしての生理的感覚の勝利である。
生理的感覚というと大仰だが、
要は「こっちの方が気持ちよくノれるんじゃない?」という “直感” である。
この辺はさすが『餅は餅屋』と言えるだろう。





もっとも、ポップスの世界に
打ち込みが爆発的に広がっていった80年代(特に初期~中期)は、
この『ミュージシャンの肉体的感覚から離れ、頭でこねくり回した』ような、
今聴くと "相当☆変" なものが大量に出現した時期であり、
その独特のいびつさ、派手さに惹かれたものは少なくない。
ポコ太もその1人である。





なお、これ以降「Maria Club」がライブで演奏されることは無くなり、
ポコ太は涙で枕を濡らす日々が続くのだが、一度だけ
2005年「トリビュートライブ」における、
会場毎の差替え曲として福岡で演奏されている。


このときのドラマーは阿部薫。
彼は原曲通りのパターンで演奏している。
これはこのライブの性格を考えると、妥当な判断であろう。

ただし原曲や80年代のライブでは、スネアに派手なゲートリバーブがかかっていて
これが変則的なパターンを強調し、アクを強くしていた
(それを意図した音作りでもあっただろう)のに対し、
この時はナチュラルな生ドラムの音であり、
変則的なパターンであっても、それほど癖は感じないようになっている。







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さて話を戻して、最後は
[その後の「Get Wild ’89」イントロにおける、
           ドラムパターン顛末記]
    (自分でも書いていて『なんじゃそりゃ』と思ったッス)




実はこの後、TMのライブで「Get Wild ’89」が演奏されたのは、
1994年「LAST GROOVE」の二日間のみである。

この時は山田亘・阿部薫、両名による怒涛のツインドラムとなっており、
基本的にはどちらかがドラムを演奏しているときは、
もう1人はパーカッションという割り当てであったが、
この「Get Wild ’89」では 正真正銘のツインドラム!!
圧巻の演奏を聴くことができた。




























2人で同時に叩くため、打ち合わせが行われたのだろう。
くだんのイントロ部分は再整理されている
(DVDにもドラムソロ部分の決めフレーズを打ち合わせている様子が収録されている)



























ドラムがスタートしてから5小節目
(”ひっかけ” の1小節目を除けば、本来の4小節目)に入るフィルインは、
「CAMP FANKS!! '89」のような派手なタム回しではなく、
スネアのタタン!というスタティックなパターンに変更されている。

その後も打ち込みのベースが入ってくるまでは、
2人ともタム回しなどはせず、バスドラ4つ打ちに徹していて、
原曲の持つ『今、何小節目?』と言うモヤモヤ感はキープされている。


ただし、2人とも愚直な4つ打ちに徹しており "あの頃のユーロビート" 感は無い。
あくまでロックっぽい印象だ。







この後、1999年に復活後のTMのライブでは「Get Wild」は演奏されるものの、
「Get Wild ’89」は一度も演奏されていない。

まあ 今更「Get Wild ’89 2014」とか言われても、
ファンとしても、どんなリアクションとっていいか分からないが。







しかしTMの正式なライブでなければ演奏されている。
先に挙げた「トリビュートライブ」(注)
(注)毎回、凝ったタイトルが付けられていたが、
   めんどくさ… もとい、混乱するので全て「トリビュートライブ」と記述する。



この「トリビュートライブ」は2003年・2005年・2007年と3回行われているが
全て「Get Wild ’89」のバージョンで演奏されている。
(というか元は同じデータを使い回しているのだろう)



この3回を阿部薫に注目して見ていると、なかなか面白いことが分る。



基本的なスタイルは「LAST GROOVE」に準じているのだが、
最初、ドラムが入る際に必ずタムの派手なフィルをつけており、
これが阿部薫の生理的感覚=素直な衝動なのだろう。

バスドラは、相変わらずシンプルな4つ打ち。
途中、聴こえるシンセタムは打ち込みだ。




2005年の演奏も同じスタイル。




ところが2007年。
この年の「トリビュートライブ」で 変革が起こる。

冒頭、タム回しをしてスタートするのは以前と同じなのだが、
その後のバスドラが明らかに違う。

これまでは単純な4つ打ちしかしていなかったバスドラムに、
16分音符も混じえた複雑なパターンが挿入されるようになった!

これは原曲の持つ雰囲気の見事な再現である。
どうやら(何故か)今になって原曲を再確認したようだ。





    しかし!、しかしである!!





よりによってこのときのデータは、尺の変更が行われており、
肝心・要の『中途半端な1小節』が無くなってしまっている!!





     おお、神よ!(← なんの神だよ)






そしてその後2014年現在、「Get Wild ’89」の姿を見たものはいない。

                 完!






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さて、とっくにばれていると思いますが、
「Get Wild ’89」をダシにして、
そのじつ「Maria Club」を語りたかった だけの今回。
いかがだったでしょう?
ちょっとややこしかったですかね。少し反省しております。



ただ、派手なライブアレンジは常に話題になりますが、
今回のような、ライブにおけるスタジオ版からの "翻訳・再解釈” については、
ミュージシャンごとの個性が出るところであり、
これもまた、なかなか面白い題材ではないでしょうか。


本来スネアの入っていないオリジナルの「Get Wild」も、
ドラマーごと、ライブごとに、スネアを入れるタイミングやパターンが違い、
なかなか興味深いものがあります。





が、ごめんなさい。




ポコ太は「Get Wild」自体にまったく愛がない ので、
今後、とくに採り上げる予定はありません。
各自、自習してください。
あしからず。



さて、次回は「コロシアムを暴け・第2弾!」と行きたいところですが、
以前、皆様にお願いした
『救済企画 / お願い、ポコ太を助けて!』のまとめがそろそろ出来そうなので、
そちらが先になるかもしれません。




んじゃ、また!